東北農政局 現地情報「岩手 盛岡」
遊休農地に定植されたアロニア
▲遊休農地に定植されたアロニア
アロニア栽培で中山間地の農業を活性化

 盛岡市砂子沢地区では、地域農業の活性化と遊休農地の拡大防止を図ろうと、平成16年から「アロニア」の栽培に取り組んでいます。同地区は標高約400mの山間地で、主に水稲や畑作物が栽培されているが、農業従事者の高齢化や後継者不足、遊休農地の拡大が課題となっていました。
 こうした中、高齢者でも栽培可能な作物を模索したところ、市からアロニア(小果樹)栽培をすすめられ、16年秋に遊休農地への定植を行ないました。
  17年秋から収穫が始まったが、生産者が一丸となって栽培や販売に取り組もうと、19年5月に、「砂子沢アロニア生産組合」(組合員17名)を設立しました。
 現在、約70aの農地で約700本が栽培されており、収穫されたアロニアは財団法人盛岡地域地場産業振興センター(盛岡手づくり村)に出荷され、加工されています。同センターはアロニアの販売窓口となっており、一部はセンター内直売所でアロニア入りのアイスクリームや菓子、パン等として販売しています。
 アロニアは耐冷性が強く高冷地での栽培にも適していることや、樹の高さが低いため収穫作業が容易であることから、高齢者でも従事できる場を提供しています。また、遊休農地の拡大防止や農業従事者の意欲向上、地域の活性化にもつながっています。
 さらに、健康維持にも良いとされているため、健康食品として家庭料理等にも利用できる商品開発の検討をしています。
 地区内には、そばの生産組合もあるが、「アロニアそば」が商品化され販売できれば、更なる活性化につながると期待され、今後も関係機関・団体と協力し、新商品の開発を進め、産地・特産化を目指すこととしています。

生活情報紙「マ・シェリ」掲載記事  2008.9
魅力いっぱいの盛岡ブランド
はじめまして アロニア


 盛岡の新しい特産品として注目されている「アロニア」。黒いナナカマドのような小さな木の実ですが、健康にも地域の活性化にも役立つとあって、期待はダイナマイト級! そんなアロニアの魅力に迫ります。

健康食品として期待されるアロニア

 清流・根田茂(ねだも)川に赤とんぼが飛び交う盛岡市砂子沢(いさござわ)。地域の小学校も閉校し、今ここで暮らすのはほとんどがお年寄りという山里に、「アロニアを育ててみないか」という話が持ち込まれたのは4年前のことでした。
 「アロニア? なんだか舌をかみそうな名前だなぁって、最初はそう思いました」
 「砂子沢アロニア生産組合」の組合長・藤原英夫さん、エキさん夫妻が話すように、アロニアは国内では北海道で栽培されている程度のニューフェイスの果実。ナナカマドに似た黒い小さな実に、ブルーベリーの約3倍ものアントシアニジンや食物繊維が含まれるとあって、健康食品としてにわかに脚光を浴びています。
 寒さを好むうえ、人の背丈ほどの高さでお年寄りでも楽に収穫が可能。つまりアロニア栽培は、盛岡の中心部より気温が3度低く(藤原さん談)、しかも高齢化が進む砂子沢にはぴったりの提案だったのです。

アロニアが地域を元気にする

 藤原さんの案内で、山の西向き斜面にあるアロニア畑へ向かいました。9月中旬は晩生の収穫期。真っ黒に熟した小さな実が、日の光を浴びてツヤツヤと輝いています。
 「まず、ちょっと食べてみて」
 いたずらっぽく笑う藤原さんにうながされ、食べてみると…うう、渋い。渋柿ほどではありませんが、生食向きではありません。
 「私たちは慣れているから平気。でもお酒に漬けたり、ジャムにして食べていたら、メガネなしで新聞が読めるようになったのよ」
 渋いからこそ鳥やタヌキも敬遠するのでしょう。苦労して防鳥ネットを張る必要もなく、まさに手間要らずの作物といいます。
 「砂子沢産のそばにこのアロニアを混ぜて乾麺の『アロニアそば』を作りたいの。そうすればいろんな人に砂子沢の味を楽しんでもらえるから」と、エキさん。アロニアが砂子沢を元気にする。ふたりの明るい表情からは、アロニアにかけるそんな期待が感じられました。

渋みをとって新たな特産品に

 生のままでは渋いけれど、その渋みにこそ目の健康維持に役立つ成分が含まれるアロニア。だから効能はそのままで渋みだけを取った加工品を作る。昨年そんな難題に取り組んだのが、「(財)盛岡地域地場産業振興センター(盛岡手づくり村)」です。
 職員総動員でまんじゅう、クッキー、団子などへの試作を何度も重ねていたときのこと。渋柿の渋抜きに焼酎が使われることにヒントを得て試してみたら、これが見事に成功!赤紫の色鮮やかなジャムが完成しました。
 「盛岡ブランドの認定も受け、しかも『もりおかベリー』という名前までつけてもらったんですよ」と、スタッフの早坂裕美さん。まもなくこの秋に収穫されたばかりのアロニアが、サプリメントや100%ジュースなどに姿を変えて私たちのもとへ。そして盛岡を代表するお土産品のひとつとしてあちこちへ飛び立ちます。

■取材協力/砂子沢アロニア生産組合、盛岡手づくり村 電話019(689)2201


ロシアや北欧で広く栽培され、古くからジャムやジュースに活用されてきたアロニア。小さな実ですが、ポリフェノールが豊富に含まれており、特にアントシアニジンはブルーベリーの約3倍。健康維持などへの効果が期待されています

本州では数少ない栽培地・砂子沢のアロニア畑。組合では約800本を栽培していて、今年は早稲種だけで約400キロの収穫があったとか

アロニアの加工品は「盛岡手づくり村」で販売(ネット販売もあり)されているほか、イベントなどにも出品しています

渋みを抜いてパウダー状にしたアロニア。この段階では無味無臭

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